2. 不倫を疑う

10年以上一緒にいて結婚した私たちだったが、入籍して1年半、結婚式から約半年ほどで、まさかの旦那の不倫が発覚することになった。

不倫相手は、わたしと夫と同じ大学の、同級生だった。
(私と同じ学部・同じ学科・同じゼミを専攻していた、見た目はコケシに似ている奴だ。)

疑い始めたきっかけは、わたしも一緒に使っていた夫のiPadを使おうとしたとき。

LINEアプリが開いていて不倫相手とのLINEのやりとりを見たことだった。

複数の知らない女とのLINEのやりとりがあったのだが、一人だけ他のとは違う具体的なやりとりがあったのがそのコケシだった。

大学卒業以来会っていないということと、夫がコケシの本名と別人の名前でLINEに登録していたことによって、最初はその人物がコケシだということにわたしは全く気づいていなかった。

何度かLINEのやりとりを見ているうちに、これは不倫をしているのか?ということと、

アイコンの顔に見覚えがあるなと感じた。

しかし、どこで見た顔なのかを思い出すのに時間がかかった。

ある時、突然その女の顔と風景、一緒に居た場所、情景が思い浮かんでハッとした。

わたしはすぐに大学の卒業アルバムを開いてそいつを探した。

大学の同級生、ビンゴだった。

そこで、あのコケシだったと知った。

でもその段階ではまだ、不倫をしている確証は持ててなかった。
(その段階で夫は「剃ったところ(陰部)がちくちくして痒い」「舐めてくれたら治るかも」とかいうLINEを送っていたが、なぜか当時のわたしはそれでも確証が持てていなかった。そんなことないって信じたかったんだろうな。)

疑いの段階では、もう何を信じればいいのかわからなくなった。

「不倫してるのか?」と聞いてもはぐらかされる。

「本当のことを言ってほしい」と頼んでも、旦那は知らぬ存ぜぬを通す。
(今思えば、不倫している人が「していない」というのは当然か。それを私は「してないっていうのが本当だったら私は最低だ、どうしよう」とか「まさかね、旦那なんだから信じなきゃ」とかマジで思ってた。旦那を特別視して旦那信者になるからみんなも気をつけて。)

しまいには、不倫を疑う私の頭がおかしい、私が異常だとか言い出した。
(不倫してる側は、された側に押し寄せる複雑な感情や葛藤、良心を逆手にとり、あたかもこちらの妄想なのかもと思い込ませることにものすごくたけている。みんなも気をつけて)

ある日、旦那と不倫相手のLINEが削除されずに残っていて、それを見ると、コケシは「わたしとこういう関係になってどう思ってるの?」「奥さんにバレたら大変なことになるよね」と超悪質な確信犯。

旦那は旦那で「バレないように最善を尽くすし、もしバレても絶対認めないから大丈夫」とかいう浅はかなやりとりをしていた。
(今思えば、その時点で私はもう自分がどうしたいのか、自分を見失っていた。だって、脳みそ下半身についてんのか?ってくらい真っ黒な会話じゃないか。それなのに旦那の言葉を信じようとしてたなんてさ。自分を大事にしていないにも程があるよね。)

なぜ、今ならはっきり「これは黒でしょ!」って思うのに、当時はここまでのLINEのやりとりを見ても、

何が本当なのかどうかがわからなくなっていたのには、いくつか理由があると今は思う。

要因として大きいのは、極々普通に生活していたことだと思う。

コケシとのLINEを見て夫に聞いたりするまでは、夫婦関係に特に問題がなかったからだ。

あとは、「旦那はわたしのことを好きでいてくれてる。不倫なんてするはずがない」と思っていたし、「十何年も一緒にいて結婚してからすぐ不倫するとか普通ならありえない」と思っていた。

いわゆる、過信ですね。

わたしの隣に、わたしの目の前に、いつもわたしの側にいるわたしから見た夫だけしか知らないのに、わたしの前で見せる顔しか知らないのに、夫はそういう人だと決めつけて、思い込んでいた。

実際は、わたし以外の前で見せる顔、姿というのは、会う人会う人違うわけで、数え切れないほどあったのだ。

どの顔も、どの姿も夫だった。

それを、当時のわたしには認識できなくて、理解できなかった。

だから、夫が何を考えているのかわからなくなったし、自分の知らない夫が怖くなったし、夫と話しができなくなった。

全く知らない人と接するような感覚になって、何をどう会話したり、反応していいのかさっぱりわからなくなってしまったのだ。

今思えば、人間なんてみんな他人が何を考えているかなんて知ってるはずなくて、わかるわけもないのにね。

当時はなんでだか、夫と自分は同じ方向を見ているとか、同じ考えをしているって思っていた。

お互いの好きなものも嫌いなものも、性格も感情も大体の思考も全部知っているしわかるとか思っていた。

なぜか、「わたしと夫は一心同体」くらいの感覚で、今まで夫という人間を全て分かったつもりで生きてきていた

ということを、わたしは後々になって知り、理解することになった。

不倫をするとか、別れを言われるとか、裏切られるなんて、微塵も思っていなかった。

完全に、身を委ね、信じ切っていて、頼りきっていた。

そして、これも後で気付いたことだけど、夫がわたしの全てで夫がいない世界なんて無意味だし

夫に愛されてないわたしなんて存在している価値も意味もないとか思って、無価値感と喪失感で泣き続けていた

あの頃、わたしは完全に夫に依存していた。